OC(低用量ピル)のすすめ 【院長体験談】

OCはOral Contraceptives(経口避妊薬)の略で、健康な女性が安全に内服できるように開発された低用量の薬剤です。日本では世界に遅れること40年、平成11年にようやくOCが認可され、さらに平成18年「使用に関するガイドライン」が改定されてから、血圧と問診だけでOCが処方できるようになりました。OCには月経痛の軽減や、子宮内膜症の予防・治療など将来の疾病のリスクを減らす効用があるため、当院では積極的にOCを治療薬として処方しております。特に中・高校生でも月経痛がある場合は、OC服用をお勧めします。
 
 OCを勧める理由…
それは私自身が子宮内膜症と月経困難症に苦しみ、OCに救われたという経験があるためです。
 OCについての情報はこちら…
OC情報センター http://www.pill-ocic.net/index.html
 

【子宮内膜症とは…】

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の内側以外の場所で増殖し、月経のたびごとにその場所で出血を繰り返す病気です。腹腔内が癒着したり、卵巣に血液が貯まって嚢胞(チョコレート嚢胞)を形成したりします。その問題は、月経痛の増強だけでなく、将来的に不妊症の原因になる可能性がある点です(*1)。そしてさらに問題なのは、初経の低年齢化と少子化・晩婚化で、子宮内膜症が増えていることです。
 

■子宮内膜症と月経困難症に苦しんだ日々…

中・高校生のころから月経痛に悩まされていましたが、今までの人生の中で最も辛かったのは平成8年〜10年、35歳の頃です。仕事の前にはボルタレン座薬50mgを挿入してベッドに横になること十数分、何とか仕事はこなしたものの、そのうちに生理でない時にも原因不明の腹痛発熱に悩まされるようになりました。卵巣にはその頃から約4cmのチョコレート嚢胞があり、腫瘍マーカー(*2)も軽度上昇していました。
 
ちょうどその頃、続発性不妊症で検査や治療もしていました。後から考えると、二人目ができなかった原因の一つは子宮内膜症だったと思います。
 

■チョコレート嚢胞(*3)が急に増大…

平成11年5月、半年ぶりにエコーをお腹にあてたところ、右の卵巣の病巣が8cmにまで増大、さらにマーカーは3桁まで上昇していました。そのころ「チョコレート嚢胞に合併した卵巣癌(*4)」の文献をいくつか目にしていたので、「自分も卵巣癌では…」という恐怖を感じながらもすぐに閉経療法(*5)を開始しました。
 
しかし、副作用の更年期障害が強くて4ヶ月しか治療できませんでした。のぼせ・ほてり・不眠・うつ症状に悩まされ、仕事をするのもやっとという状態でした。卵巣嚢胞は4cmに縮小しましたが、治療をやめたら再発するわけですし、将来卵巣癌になったらどうしようという不安もあり、何とか良い方法はないものかといろいろと調べました。
 

■閉経療法からOCへ…

内膜症の治療に中用量ピルというのは教科書に載っていますが(保険適応あり)、副作用の面で長期的な使用に不安がありました。ところが、ちょうどその頃にOC (低用量 ピル)が認可されたのです。OCの文献を調べているうちに、これこそ内膜症の治療に使えるのではと思い、さっそく平成11年9月から内服を始めました。もちろん現在もOCを飲み続けています。
 
OCは避妊のために使われる薬ですが、黄体ホルモンの作用により子宮内膜の増殖を抑制します。低用量のため副作用はほとんどなく、子宮内膜症の治療薬として長期的な使用が可能です。
 

■OCで人生が変わりました…

1.
月経痛が軽減し、痛みの辛さから開放された。月経中だってことも忘れてしまうことがあります。
2.
月経量が減って、失敗することがなくなった。ウイングタイプやナイト用なんて必要ありません。
3.
超音波検査で卵巣嚢胞は確認できなくなり、「卵巣癌になるかも…」という将来的な不安がなくなった。(昨今、チョコレート嚢胞の癌化が問題とされています)
4.
PMS(月経前症候群)がなくなって、精神的に落ち着いた。イライラしなくなり、夫婦喧嘩が減りました。
5.
多毛が改善、お肌の調子もいい感じ。
6.
月経日を自由にコントロールできる。
7.
卵巣癌になるリスクが減った。卵巣癌の原因は排卵による卵巣上皮の損傷だと考えられています。したがって、OCで排卵を抑制することで、卵巣癌になるリスクは減少します(4年以下のOC服用で30%減少、12年以上の服用で80%減少)。
8.
体調管理をしっかりするようになった。閉経(だいたい50歳くらい)までOCを続けるつもりなので、健康には気をつけています。
9.
妊娠しているかわからないという不安定感からの開放。これは当事者でないとわからないかもしれまんが、続発性不妊で検査・治療していた頃、新しいことにチャレンジできず、とても気持ちが不安定でした。OCを開始してから、すなわち妊娠を望まないと決めてから、具体的な生活設計ができるようになりました。確実な避妊ができるということは、女性の人生をプラスに大きく変えます。
 
(注釈)
*1
不妊症の原因の30〜50%が子宮内膜症だったという報告があります。しかし子宮内膜症だから不妊になるというわけではありません。ただし進行した子宮内膜症では妊娠が難しいケースもあります。大切なのは、内膜症を予防することと進行させないことです。
*2
子宮内膜症では血液検査でCA125やCA19-9の腫瘍マーカーが上昇することがあります。
*3
チョコレート嚢胞:子宮内膜症組織が卵巣内の深部で増殖と剥離・出血を繰り返すと、たまった月経血様の液体によって卵巣が大きくふくらんで嚢胞をつくります。中の液体が、溶けたチョコレートのように見えるため、チョコレート嚢胞といわれます。
*4
チョコレート嚢胞のほとんどは良性とはいえ、約1%の人に卵巣癌が見つかっています。特に40歳以上では卵巣癌の合併頻度が高くなるため、注意が必要です。
*5
閉経療法は子宮内膜症の悪化・進行に関わるエストロゲンを抑制する治療です。強い治療効果 が期待できますが、副作用(更年期障害様症状)や治療期間(6ヶ月以内)などの問題あります。
 

ひまわりレディースクリニック

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