HRT（ホルモン補充療法）はエストロゲンという女性ホルモンを補充して、更年期症状を軽減（改善）させる治療法です（※）。

「HRT＝がんになる」と思っている患者さんがまだまだいらしゃいます。

昔の報告ではHRTを5年以上続けると少し増える（1.26倍）と言われてました。

それは子宮のある方が黄体ホルモンを併用した場合です。

子宮が無くてエストロゲンだけを使用している方では乳がんは増えないため、黄体ホルモンの影響ではないかと考えられてきました。

2022年12月に保険適用になった黄体ホルモンのエフメノカプセルは、乳腺への刺激がないので安全に使えます。

それでも不安という方はいらっしゃると思います。

1.26倍という数字はそれほど問題になる増加率ではないと思います。

乳がんの家族歴があると罹患率は2倍と言われてます。

HRTによる全体のがん罹患率はどうでしょうか？

大腸がんなどが減るので、全体のがん罹患率は減ります（0.77）。

それでもやっぱり乳がんは心配という気持ちはわかります。

でも、今や日本人の9人に１人は乳がんになる時代です。

ホルモン治療をするしないにかかわらず、乳がんになる可能性は誰にでもあります。

もちろん私も同じです。

ありがたいことに、乳がんは早期発見が可能ながんです。

定期的な検診はもちろんですが、自己触診も重要です。

私は入浴（またはシャワー）の際にオッパイを触るようにしてます。

自分の体なので毎日触っても無料！

こんな安いがん検診は他にはありません。

乳がんは早く見つければ怖くありません。

どうぞ安心してホルモン補充治療をお受けください。

（※）ただし、HRTができない方、しない方がいい方がいます。閉経して治る（縮小する）病気はHRTで再発、再燃する可能性があります。私も子宮内膜症という病気があったのでHRTはしていません。