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院長ブログ

「言うことを聞かないと死んでやるからね」

昨日の朝日新聞、土曜日版「be」のフロントランナーは、ひきこもり当時者の池井多(いけいだ)さんでした。

1962年生まれ、私と同じ年です。

<幼児期から「言うことを聞かないと、死んでやるからね」などと繰り返し母に言われました。母が死んだら自分は生きられなと思っていましたから、その脅しは恐怖でした。>

これは精神的(心理的)虐待だと思いますが、身体的虐待と違って体に傷やあざがあるわけではないので、周囲の人はわからないことが多いと思います。

当時は、身体的虐待や体罰でも「しつけ」と言われてた時代ですから、精神的虐待などという概念は、一般にはなかったと思います。

今でも、このような両親・家族からの脅しは表面化しにくいと思います。

「言うことを聞かなと死んでやるからね」

そんな言葉を子どもに言うなんて考えられないと思う方もいるかもしれません。私もそう思いましたが、精神科の夫の話によるとまれなケースではないようです。

池井多さんは、「30代の4年間、雨戸を閉め切ってくらす『ガチこもり』を経験しました。その時期に、母の虐待がひきこもりの原因だと気づいたことは人生の革命でした」

「心の奥底へ降りていける絶対的な孤独の中でなければ気づけなかったことです」と言ってます。

ひきこもり当事者がこのように発信することについて、テレビに出られるならひきこもり当事者じゃないと言われることもあるそうです。

性犯罪被害当事者の話と似ていると思いました。

ジャーナリストの伊藤詩織さんは、性被害当事者として山口氏を訴えました。

「本当の性犯罪被害者は伊藤さんのような言動をしない」と言われて、被害者はさらに苦しみます。

仮に当事者からそのような発言があったとしても、当事者も社会通念(偏見)に縛られている可能性があります。

ひきこもりは、ひきこもっているからひきこもり。

性被害者は、「あなたにも落ち度がある」と言われて、絶望的になり、口を閉ざしてしまう。

当事者が発信しなければ、問題を解決することすらできません。

自分の家族のこと、性に関すること、多くの人が隠したいと思うことです。それを公表することはとても勇気のいることです。

そういう私も、心の蓋を開けてのぞき込んだら、偏見を見つけました。隠したいこともありました。ドロドロですね。

話がずれてしまいましたが、池井多さんの活動を応援したいと思います。

 カテゴリー:子育て、思春期  2020年03月01日

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